| 指揮 | ヘルマン・アーベントロート |
| 演奏 | ロンドン交響楽団 |
| 録音 | 1927年3月3日 |
| 発売 | Biddulph(HMV) |
| CD番号 | WHL 053 |
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いきなり冒頭の音をまるでフルトヴェングラーのように長く引っ張ったかと思えば、その長さが特別に長いとは思えないくらい、かなり遅いテンポで始まります。 そのテンポに驚かされ、このままだと第1楽章が終わるのが記録的な遅さになるのではないかと思えば、8小節目あたりから急にテンポがアップして、他の演奏とそれほど変わらない速さになります。結局第1楽章が終わるのは12分6秒ですから、むしろ速い部類に入るでしょう。 こういうテンポの変化は、冒頭だけではありません。第1楽章から第4楽章までの全体にわたっています。テンポ変化はかなり激しい方だと思います。 ただ、それだけテンポの変化が激しくても、決して感情の赴くままに行き当たりばったりで変えているような迷走感はありません。テンポを速くする場合も遅くする場合も、かならず、最終的にこの部分でこの速さにするという目標がハッキリしていて、明確にそこに向かってテンポが変化していきます。言い換えれば、中心線がしっかりと定まっているため、石積みの建物のように外郭ががっちりとしていて、聞いていて安定感があります。 なかでもテンポを速くしながらのクレッシェンドは見事でした。 クレッシェンドと次第に速くなるテンポが相乗効果で、真っ直ぐに目標に向かいながらも、音楽は二次曲線を描くように一気に盛り上がっていきます。同じテンポを速くしながらのクレッシェンドしていくことを得意とするフルトヴェングラーと較べると、たしかにフルトヴェングラーほどの、聞き手の予想を遥かに超える劇的な盛り上がりまではいきませんが、その代わり、一気に盛り上がりながらも土台はしっかりとしているため、厚みと重みのある盛り上がりを見せています。 少し惜しいのがオーケストラです。ロンドン響は当時のロンドンではおそらく最も上手いオーケストラのはずで、決して下手ではないのですが、それでもテンポ変化が激しいため、アーベントロートの指揮についていけず、遅れたり乱れたりする部分を結構見かけます。 また、録音もそれほど良くありません。1927年という年代を考えると妥当なところでしょうが、音が割れ気味で、細かい部分もフォルテではつぶれてあまり聞き取れません。 ところで、アーベントロートのロンドン響とのこの曲の録音は、TAHRAから同年の3月27日録音の演奏がCD化されているようです。そのCDは残念ながら聴いたことがありませんが、ライブ録音ならともかく、スタジオ録音をそんな短い期間で2回も録音はしないでしょうし、日付は違っていますが、おそらく同じ録音ではないかと思います。(2007/9/15) |