| 指揮 | チャールズ・マッケラス |
| 演奏 | ロンドン交響楽団 |
| 録音 | 1973年7月23日 |
| カップリング | ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」 |
| 発売 | VANGUARD |
| CD番号 | OVC 4065 |
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アクセントがガツンと来る、なかなか刺激的な演奏です。 この曲は、ところどころで音楽の横の流れを遮るように全合奏でザンと刻み込むようなアタックが登場します。そのアタックがかなり衝撃的なのです。 楽器の音を生でぶつけたような感じで、各楽器の音色を融合させず、あえて音色の違いを出すことで、カン!というスマートな衝撃ではなく、グシャッと生々しく伝わってきます。もちろんグシャといっても、揃っていなかったり粗かったりするわけではありません。もし揃っていなかったらそもそも腰砕けでむしろ衝撃は弱くなります。この演奏のアタックは、綺麗ではないものの荒々しくも重みがあり、鈍器で叩かれたような後に響く衝撃なのです。 全体のテンポは実は結構速めで、曲はスピードに乗ってどんどん進んでいきます。音楽もそれに伴ってするするとスマートに流れていくため、それだけでは流れが良すぎてあまり印象に残らなかったかもしれません。それを遮って思いっきりアクセントになっているのが上記のアタックなのです。調子よく進んでいくところで、ガツンと地面に叩きつけられ、また何事も無かったかのように前に進み出すと、また叩き付けられる、この繰り返しが何とも音楽に起伏を与えているのです。 逆に言えば、ベースになるテンポが速いため、アタックも生きてきます。これでテンポまで遅いと、テンポ感が無くなり、アタックも同士の繋がりも薄くなるため、個々のアタックが強いだけに、どうしても浮いてしまいます。 なるほど上手く組み合わせているものだと、感心しました。 アタックの部分以外の楽器間のバランスなどはむしろよく整っていて、手堅くまとまっています。テンポの変化についても、基本速めにキープしているものの、無理に煽るという雰囲気は無く、異なるテンポへの移り変わりもギクシャクしたりせず非常にスムーズです。 変わったところとしては、第4部前半の「乳母の踊り」の途中から出てくるヴァイオリンのメロディーが、半ばポルタメントがかかるぐらい異常に気合を入れて歌っているのが目立つぐらいで、全体としては他の演奏と極端に違う点はほとんどありません。 つまり、そのままだとかなり地味な演奏になったはずです。たしかにしっかりまとまっている点や流れの良さを考えれば平凡な演奏では決してありませんが、それでも印象に残りにくかったとは思います。しかし、衝撃的なアタックを入れることで、最初に聴いた時からかなり印象に残る演奏になっています。これがもし他の曲であれば、さすがに下品に感じたでしょうが、もともとグロテスクな内容の曲だけに、上手く合っていました。 それにしても、マッケラスがこういう曲を録音していたとはわたしにはちょっと意外でした。 マッケラスというと、メサイアを何度も録音したり、プラハ室内管とのモーツァルトなどをよく聴いていたため、なんとなくバロックから古典派辺りを中心に演奏する人というイメージがありました。 ただ、考えてみればヤナーチェクの第一人者でもありますし、常任等の役職に就任したオーケストラもシドニー響などレパートリーは限定されていません。 そう考えると、これだけ手馴れた感じなのも、普通に指揮する機会がある曲とすればわかります。 ちなみに、ストラヴィンスキーの曲のスタジオ録音は、これ以外は1980年代にロンドン・フィルを指揮した「春の祭典」があるだけのようです。さすがに録音を何度も入れるほど代表的レパートリーとは思われてなかったようですね。(2011/11/26) |