| 指揮 | トーマス・ビーチャム |
| 演奏 | ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 |
| 録音 | 1935年10月4日,1936年2月28日 |
| カップリング | ハイドン 交響曲第93番 他 |
| 発売 | DUTTON(Columbia) |
| CD番号 | 2CDAX 2003 |
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ビーチャムのハイドンの「ロンドン・セット」には、1955年頃にロイヤル・フィルと録音したものもありますが、これは1930年代にロンドン・フィルと何曲か録音した中の一枚です。 もちろん、録音の鮮明さからすれば後年の録音にははるかに及びませんが、1935〜36年としては、けっこう良い方ではないかと思います。それに、あまり多くの種類の楽器が登場しないハイドンということもあって、聴くのにはそれほど支障はありません。 演奏は、歌とキレの双方のバランスがなかなか絶妙です。 現代楽器の大編成のオーケストラらしく響きが豊かで、メロディーはその響きを土台に大きく歌っています。もちろん、大きく歌うといっても、ビーチャムでハイドンですから、テンポを伸び縮みさせたり、のめり込むように歌ったりはせず、あくまでもテンポは守り、その中で伸び伸びと歌わせています。 そのテンポは、後年のロイヤル・フィルの録音よりは速めですが、近年の古楽器系の演奏に較べると、そう速いというほどでもありません。中庸といったところでしょうか。しかし、リズムが軽く、テンポのわりにスピード感があります。豊かな響きでも風通しが良いため、空気が重くならず、テンポ良く進んでいきます。 その典型が第3楽章です。 ちょっと遅めのテンポながら、スタッカートの四分音符を短く揃え、テンポが間延びしないようにしています。その一方で2小節目の3拍目からのフォルテは、音は短く切りながらも、強く重めの音で響きを残すことで、テンポのキレはそのままに、響きに厚みと重量感が出て、音楽に落ち着きを与えています。 さらに、18小節から登場するメロディーや、トリオなどは、ゆったりと柔らかく歌い、明るく穏やか雰囲気を出しています。 伴奏の重量感とメロディーの伸び伸びとした歌が、互いに相手の魅力をさらに引き出しているのです。 メロディーの歌い方といいテンポのよさといい、肩の力を抜いてリラックスした雰囲気があり、全神経を集中させたような緊張感の高さとは無縁ですが、聴いていて楽しい心が安らぐ演奏です。(2008/3/22) |