| 指揮 | トーマス・ビーチャム |
| 演奏 | ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 |
| 録音 | 1936年12月18日 |
| カップリング | F.J.ハイドン 交響曲第99番 他 「The NBC Studio Recordings(1949-1954)」の一部 |
| 発売 | DUTTON(Columbia) |
| CD番号 | 2CDAX 2003 |
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ビーチャムの交響曲第93番の録音は、1957年にロイヤル・フィルを指揮したものがありますが、この録音は、その約20年前にロンドン・フィルを指揮したものです。 ロイヤル・フィルとの新録音は、ビーチャムのハイドンではよく謳い文句になっている典雅という言葉そのままの演奏で、全体的に丸く、さらに表情も細かくつけて歌わせています。それに較べて、ロンドン・フィルとの旧録音は、音楽がもっとまっすぐで、スパッと明快に聞こえます。 こういう変化は、やはり年齢によるものなのでしょう。程度こそ異なるものの、メンゲルベルクの芸風の変化と傾向が似通っています。 穏やかな気分でじっくりと音楽を味合うのには新録音が向いていて、もっと情熱と力強さを感じたい場合は旧録音です。 その違いは、例えば第4楽章で冒頭から登場する速いメロディーの扱いに表れています。 新録音は、テンポへのノリはそれほどではなく、どちらかいうと多少後ろに引張り気味です。その一方で、フレーズの途中に出てくる32分音符の細かい動きなどは、かなり濃い目に表情を付け、かなり強調気味に演奏しています。もちろん、ビーチャムですからしつこく感じるほどに極端ではなく、濃い表情がうまく表現の深みとなる程度に抑えています。そのため優雅で味わい深い演奏となっています。 旧録音の方は、細かい部分にはそれほどこだわりません。その代わりテンポに乗ってまっすぐに突き進んでいきます。細かい動きは音の粒を揃えてキレを出し、さらに全体が四分音符で一斉に和音を弾く部分などは、キレに加え、力強さもあります。 系統としては、トスカニーニに大分近いのですが、トスカニーニほど破壊的ではなく、そこはビーチャムらしく、調和を乱さないギリギリのところで抑えていて、さっぱりとした清清しさが感じられます。 さらに、それに加えて良かったのがフレーズのつながりの上手さです。 流れが本当に自然なのです。 第3楽章のメロディーは、かなり上下に動き、さらにスラーとスタッカートが頻繁に入り混じるため、ストレートに突き進む演奏では、動きがどうもギクシャクするか、そうでなくてもフレーズがぶつ切りに聞こえてしまうことがあります。 ビーチャムの演奏は、スタッカートは短く切り、スラーとスタッカートの差を大きく出しているのにも関わらず、一本の流れになっています。メリハリがありながら、まるで舞曲のように動きが自然です。 この演奏は、録音が1936年なので、たしかに後年の録音に較べると、特に響きにおいてだいぶ見劣りしますが、雑音や音の割れはほとんど無く、かなり聴きやすいほうだと思います。ハイドンなのでオーケストラの編成もそれほど大きくなく、細かい動きまで結構しっかり聞こえます。(2010/2/6) |